できること
セッションをまたぐ記憶
ユーザーの好み、プロジェクトの慣習、過去の誤り、ドメインの文脈などを、エージェントがセッションをまたいで保持できます。ストアはサンドボックス内のディレクトリとしてマウントされ、エージェントは通常のファイルツールで読み書きします。
読み書き権限の指定
ストアごとに access を read_write または read_only に設定できます。所有者やアクセスルールが異なるメモリは、複数のストアに分けて 1 つのセッションに接続できます。
変更履歴の監査と復元
メモリへの変更ごとに不変のバージョンが作られます。誰がいつ何を変えたかの監査、過去のスナップショットの確認・復元、redact による機密内容の除去ができます。
機能解説
概要
メモリストアはワークスペース単位のテキスト文書の集まりで、セッションに接続するとサンドボックス内のディレクトリとしてマウントされます。エージェントは、ほかのファイルと同じファイルツールでこのディレクトリを読み書きします。
メモリストアは Claude 向けに最適化されたテキスト文書の集まりで、ワークスペース単位で管理します。エージェントからの見え方は次のとおりです。
- 各マウントを説明する注記がシステムプロンプトに自動で追加され、エージェントにどこを見ればよいかを伝えます。
- エージェントがストアを扱うには agent toolset が必要で、エージェント作成時に有効にしておきます。
- 接続した各ストアは
/mnt/memory/配下のディレクトリにマウントされます。正確なパスはセッションのメモリストアリソースのmount_pathフィールドで返されるため、自分で組み立てずにそこから読み取ります。 - マウントパス配下への書き込みはストアに保存され、同じストアを共有するセッション間で同期されます。
/mnt/memory/配下のそれ以外のパスへの書き込みは、親ディレクトリが読み取り専用でマウントされるため失敗します。 - エージェントによるメモリの読み書きは、イベントストリーム上で通常の
agent.tool_useとagent.tool_resultイベントとして現れます。
セッションへの接続時の設定
- 任意の
instructionsで、そのセッションでストアをどう使うかの指示を与えられます。ストアのname・descriptionと並んでエージェントに示され、上限は 4,096 文字です。 accessの既定値はread_writeで、read_onlyも指定できます。アクセスはファイルシステムのレベルで強制され、read_onlyのマウントは書き込みを拒否し、read_writeのマウントへの書き込みはそのセッションに紐づくメモリバージョンを作ります。- 参考資料、共有の参照データ、エージェントが変更する必要のないストアには
read_onlyを使うのが推奨です。信頼できない入力を経由したプロンプトインジェクションによって、read_writeのストアに悪意ある内容が書き込まれる場合があるためです。 - メモリの部分ごとに所有者やアクセスルールが異なる場合は、複数のストアを接続できます。
メモリの編集と変更履歴
- メモリストアは API で直接管理でき、レビューのワークフロー構築、誤ったメモリの修正、セッション実行前のストアへの事前投入に使えます。ストア内の各メモリはパスで指定し、API または Claude Console から直接読み取り・編集できます。
- 一覧取得は
path_prefixでディレクトリに絞り込めます。depthを省略するか0を渡すとサブツリー全体、1を渡すと直下の項目だけを返します。 - メモリの作成は既存のメモリを上書きしません。既存のメモリを ID で更新すると、
content、path(名前の変更)、またはその両方を変更できます。 - 同時に行われた書き込みを上書きしないよう、
content_sha256の前提条件を渡せます。保存されている内容のハッシュが読み取ったときのものと一致する場合だけ更新が適用され、一致しない場合はメモリを読み直して最新の状態に対して再試行します。 - 専用の復元エンドポイントはありません。元に戻すには、目的のバージョンを取得し、その
contentをPOST /v1/memory_stores/{memory_store_id}/memories/{memory_id}で書き戻します。 - redact は、監査証跡 (誰がいつ何をしたか) を残したまま過去のバージョンから内容を除去します。現在のメモリの最新版 (head) にあたるバージョンは redact できません。
- バージョンは個々のメモリではなくストアに属し、メモリを削除しても消えません。そのため、監査証跡は保持期間の範囲内で削除済みのメモリも対象にします。
セルフホストのサンドボックスでの利用
セルフホストのサンドボックスで実行する Claude Managed Agents のセッションでも、メモリストアを接続できます。Python・TypeScript・Go の SDK ワーカーが、接続された各ストアをサンドボックス内の mount_path にダウンロードし、エージェントの変更をストアに同期し戻します。
この場合、各ストアのディレクトリはライブマウントではなく、ワーカーが管理するローカルのコピーです。ワーカーはツール呼び出しの後と、セッション終了時にもう一度、このコピーをストアと突き合わせます。
管理者・導入時に確認したい点
- Memory for Claude Managed Agents はベータ提供です。対象プランや提供地域は、公式のリリースノートには記載がありません。
- メモリストアは create・retrieve・update・list・archive・delete の各操作に対応しています。
- アーカイブするとストアは読み取り専用になり、新しいセッションに接続できなくなります。アーカイブは一方向で、元に戻す操作はありません。
DELETE /v1/memory_stores/{memory_store_id}を呼ぶと、ストアとそのすべてのメモリ・バージョンが完全に削除されます。
使い方
nameとdescriptionを指定してメモリストアを作成します。descriptionはエージェントに渡され、ストアに何が入っているかを伝えます。- 必要に応じて、エージェントを実行する前に参考資料をストアに入れておきます。
- セッション作成時に、セッションの
resources配列にメモリストアのid(memstore_...) を含めて接続します。接続できるのはセッション作成時だけで、実行中のセッションへの追加・取り外しには対応していません。
利用シーン
ユーザーの好みやプロジェクトの慣習を、次回以降のセッションのエージェントに引き継ぐ場面に向いています。
社内の参考資料や共有の参照データを、エージェントに書き換えさせずに read_only で参照させる場面に向いています。
エージェントが書いたメモリを人がレビューし、誤りを修正するワークフローの構築に使えます。
履歴に残った機密内容を、監査証跡を保ったまま取り除く必要がある場面に使えます。
ChatGPT・OpenAI の対応する機能
比較の単位となる業務: マネージドエージェント向けの永続メモリの保存・一覧取得・サンドボックスへの同期
OpenAI の Agents API では、エージェントを OpenAI ホストのサンドボックスで実行するか、自社インフラや対応プロバイダーのサンドボックスを接続して実行できます。メモリストアは、Claude Managed Agents のセッションのサンドボックス内にディレクトリとしてマウントされ、セルフホストのサンドボックスで実行するセッションにも接続できます。
Agents SDK では、メモリーをいつ作成し、どこに保存するかを制御できます。メモリストアは、ワークスペース単位のテキスト文書の集まりとして保存され、各メモリを API または Claude Console から直接読み取り・編集できます。
Memory v2 (メモリ) は、利用可能な場合に、過去のタスクから安定した好みやプロジェクトの慣習などの文脈を今後のスレッドに引き継げます。メモリストアも、ユーザーの好み、プロジェクトの慣習、過去の誤り、ドメインの文脈をセッションをまたいで持ち越す用途の機能です。
これまでの変更
セルフホストのサンドボックスで実行するセッションでのメモリストアの接続に対応し、Python・TypeScript・Go の SDK ワーカーがストアのダウンロードと同期を担います。
managed-agents-2026-04-01 ヘッダーも同じ一覧取得の挙動を採用する発効日です。
agent-memory-2026-07-22 ベータヘッダーが追加され、メモリ一覧取得 (
GET /v1/memory_stores/{memory_store_id}/memories) の挙動が変わりました。このヘッダーでの挙動は次のとおりです。- 結果はサーバー定義の安定した順序で返され、
order_byとorderパラメーターは無視されます。 depthは0、1、または省略のみを受け付け、それ以外の値は 400 エラーになります。path_prefixは/で終わる必要があり、部分文字列ではなくパスセグメント単位で一致します。- ヘッダーなしで発行されたページカーソルはこのヘッダーでは無効なため、採用時は最初のページからやり直します。
- メモリストアのエンドポイントでは agent-memory-2026-07-22 が managed-agents-2026-04-01 に置き換わり、両方を送ると 400 エラーになります。
- Python (0.116.0)・TypeScript (0.110.0)・Go (1.56.0)・Java (2.48.0)・Ruby (1.55.0)・PHP (0.36.0)・C# (12.35.0)・CLI (1.16.0) の各 SDK は、すべてのメモリストア呼び出しで managed-agents-2026-04-01 の代わりに agent-memory-2026-07-22 を送ります。
- 結果はサーバー定義の安定した順序で返され、
Memory for Claude Managed Agents が、標準の managed-agents-2026-04-01 ヘッダーのもとでベータ提供になりました。