できること
推論前の許可・拒否判定
管理対象の各プロンプトは、推論が始まる前に組織の AI セキュリティサーバーの判定を待ちます。拒否されたリクエストはモデルに届きません。
端末への導入が不要
フックは Anthropic のサーバー上で、リクエストがクライアントを離れた後、モデルが動く前に実行されます。組織内のすべての Claude 製品の管理対象リクエストに一律に適用され、ユーザーの端末に何かを入れる必要はありません。
段階的な適用
shadow mode (何もブロックせずに実際の通信で判定を観察する)、rollout percentage (選んだ割合のリクエストだけを検査する)、特定のロールの除外を組み合わせて、適用を段階的に広げられます。
機能解説
概要
拒否されたリクエストはモデルに届きません。対象となるプロンプトは claude.ai、Cowork、Claude Code にわたります。フックは Anthropic のサーバー側で動くため、ユーザーの端末に何かをインストール・配布する必要はありません。
判定の仕組み
promptイベントは、管理対象の推論リクエストごとに、推論が始まる前に 1 回発生します。tool_callイベントは、Validate tool calls (ツール呼び出しの検証) をオンにしている組織で、Claude の応答にツール呼び出しが含まれるときに、どのツールも実行される前に発生します。1 回の判定で、その応答に含まれるすべてのツール呼び出しを扱います。- AI セキュリティサーバーへの各リクエストは、組織が署名用のシークレットを生成すると Standard Webhooks の仕様に沿って署名されます。サーバー側で Anthropic からのリクエストであることを検証できます。
- サーバーは、組織が設定した判定のタイムアウト (既定は 5 秒) 以内に判定を返す必要があります。
- 拒否 (
deny) の場合、ユーザーにはポリシーによるブロックのメッセージが表示されます。このメッセージは、サーバーが判定のdeny_reasonフィールドで返した理由と、管理者が設定する定型メッセージ (問い合わせ先や例外申請の窓口など) を組み合わせたものです。 - すべての拒否は、コンプライアンス用の Activity Feed に記録されます。
サーバー障害時の扱い
AI セキュリティサーバーに到達できない、エラーを返す、またはタイムアウト内に応答しない場合は、組織の failure handling (失敗時の処理) の設定で結果が決まります。選択肢は、リクエストをブロックするか、検査せずに通すかです。
サーバー側に原因のある失敗が続くと circuit breaker (遮断機能) が働き、Anthropic はサーバーへの問い合わせを止めて、すべてのリクエストに failure handling の設定を適用します。サーバーが再び判定を返していることを検知すると、遮断は自動で解除されます。
現在の制限
- 判定は allow か deny のどちらかです。プロンプトの書き換えや一部の黒塗り (redact) には対応していません。
- ファイルや画像の生のバイト列は送られないため、画像だけの内容 (文書のスクリーンショットなど) は検査されません。
- 音声モードでエンドポイントがリクエストを拒否した場合、音声通話は通常、一般的なエラーメッセージで終わり、拒否理由は表示されません。
管理者・導入時に確認したい点
- AI セキュリティサーバーが受け取るのは、ユーザーが目にする内容と同じ範囲です。会話記録のテキスト、ツール呼び出しとその結果、添付ファイルから抽出したテキストが含まれます。ファイルや画像の生のバイト列、システムプロンプト、Anthropic 内部のコンテキストは送られません。
- Inference hooks の仕組み自体は、プロンプトや応答の内容のコピーを保持しません。保存するのはフックの設定と、判定・タイムスタンプ・リクエスト識別子などのフックの動作に関するメタデータだけです。
- Claude Security のホスト型スキャン、Code Review、smart reports などの機能のために Anthropic が行うモデル呼び出しは、管理対象のリクエストではなく、エンドポイントには送られません。
使い方
リクエストが拒否された後、Claude Code で会話を続けるときの手順です。
/rewindを実行し、拒否の原因となった内容を最初に持ち込んだプロンプトを選びます。- 確認を求められた場合は Restore conversation (会話を復元) を選び、入力欄に戻ったプロンプトを編集するか消去します。
利用シーン
会話記録を組織の DLP スキャナーに転送し、規制対象や機密区分の情報を含むプロンプトを拒否する用途に使えます。
常に allow を返しながら届いた会話記録を順に保管する用途に使えます。Compliance API を定期的に取得しに行く方式に代わる、プッシュ型の保管手段です。
利用できるモデルの許可リスト、プロジェクト単位の制限、勤務時間帯による制御など、組織独自のルールを推論前に適用する場面に向いています。
本格的にブロックを始める前に、shadow mode で実際の通信に対する判定を観察する場面に向いています。
ChatGPT・OpenAI の対応する機能
比較の単位となる業務: 組織のセキュリティサーバーによるプロンプトの推論前許可・拒否判定
Inference hooks は、会話記録を組織が用意した AI セキュリティサーバーに送り、そのサーバーが返す allow / deny の判定を待ってから推論を進めます。判定するのは組織側の外部サーバーで、拒否されたリクエストはモデルに届きません。
Codex の Automatic approval reviews (Guardian) は、対象となる承認プロンプトを、リクエストの実行前に自動レビュー担当のエージェントに回す仕組みです。自動レビューが設定されている場合、Codex アプリには、レビューの状態とリスクレベルを含む自動レビューの項目が表示され、承認・拒否・停止・タイムアウトのどれになったかを確認できます。
Responses API では、生成リクエストに moderation オブジェクトを渡すと、モデルの入力と生成出力の両方のモデレーション結果を同じレスポンスで受け取れます。Inference hooks が推論の前に判定を待つのに対し、こちらは生成のリクエストと同じレスポンスの中で結果を返します。
これまでの変更
Claude Enterprise の組織向けにベータを終了しました。
Claude Enterprise の組織向けにベータとして提供が始まりました。対象は claude.ai、Cowork、Claude Code の管理対象プロンプトです。リクエストの署名、失敗時の処理の設定、拒否の Activity Feed への記録が含まれます。
Enterprise 以外のプランでの提供については、公式のリリースノートには記載がありません。